ミツバチの神秘-興味のある方は読んで見て下さい
ミツバチの世界は、非常に効率化されたシステムで成り立っています。その一部を紹介していきたいと思います。
感情とは無縁の、本能のみが支配する中で、自然淘汰による進化が作り上げた高度なシステムだと思います。
細かなメカニズムではなく、概念的な内容を記入したいと思います。
ミツバチに詳しい方にとっては、当たり前の事ばかりで、細部の説明不足を感じると思いますが、今までミツバチに興味が無かった人が、これを読んでなるほど、小さな虫の世界もこんなに高度なシステムで成り立っているんだと、興味を少しでも持って頂ければ、うれしく思います。
尚、ここに書かれている内容は、先人達の努力により、解明、発見された内容です。ミツバチは蜂蜜という非常に人類にとって有益なものをもたらす為、様々な研究がなされています。ただし、もちろん全てが分かっている訳では決してありません。
ミツバチの群と各蜂の役割-ミツバチの群れは一つの大きな生命体のようなもの
全ての蜂は群の中で、自らの役割を淡々とこなしている
女王蜂といっても偉いわけではなく生殖という役割を担っているに過ぎない
各蜂は個の為ではなく、群という大きな一つの生命体の為に行動しているように見える
群(ぐん)とは、ミツバチの巣箱一つずつのことです。1つの巣箱が、1群です。1群は少ないときでも5千匹、多くなると5万匹にもなります。
群は、1匹の女王蜂、大多数の働き蜂、一部の雄蜂で構成されています。
女王蜂は、1群に1匹しか居ません。複数が同時に羽化した場合は、分封で巣別れするか、女王同士が戦って一方のみが残ります。
産卵することが役割であり、暖かい時期だと1日に1500個位の卵を産みます。また、寿命は2~3年で他の蜂よりはるかに長生きです。
女王蜂が産んだ受精卵にローヤルゼリーを与えると女王蜂になり、同じ卵に花粉ダンゴを与えると働き蜂になります。つまり、元は同じ卵です。
働き蜂が作る特別な巣房(王台)で、女王蜂は卵~幼虫~成虫になります。
女王蜂が事故等で居なくなったり、何らかの理由で弱ったり、また分封時期になると、働き蜂は王台を作り、新しい女王蜂を育てます。
女王蜂は1群1匹で重要ですが偉い訳ではなく、次期女王蜂は働き蜂によって決定されており、あくまで生殖という役割を担っているに過ぎません。
働き蜂は、花蜜・花粉集め、花蜜を加工・濃縮し蜂蜜として蓄える、幼虫の世話、清掃、警備、空調(換気・温度調節)等の全ての仕事を行います。
寿命は暖かい時期で2ヶ月、冬季で5ヶ月位です。前述の通り、働き蜂も、女王蜂も元は同じ卵から育つ、つまり、働き蜂は全てメスです。
羽化したばかりの若い蜂は巣箱内での仕事(内勤)を行い、その後、集蜜等の外での仕事(外勤)をするようになります。
ローヤルゼリーを分泌したり、巣の材料である蜜蝋を分泌するのも働き蜂です。
働き蜂は外敵を攻撃して刺すと、針には返しがあり、体内の毒腺も一緒に抜けてしまう為、死んでしまいます。
雄蜂は、女王蜂が産んだ未受精卵から育ちます。
働き蜂が、雄蜂房と呼ばれる専用の部屋(働蜂房より少し大きい)を作ると、女王蜂はそこに未受精卵を産みます。
女王蜂は、働き蜂が作る巣房によって、受精卵、未受精卵を産み分けています。つまり、働き蜂が女王蜂にどの卵を産ませるかを決めているともいえます。
雄蜂は、新女王蜂と交尾することのみが役割であり、交尾時に、交尾器とともに内臓が抜ける為、交尾すると死んでしまいます。
女王蜂は羽化数日後、巣箱から出て、空中で、複数の雄蜂と交尾します。そして、この時の精子を体内に保存し、生涯の受精卵の産卵を行います。
つまり、この時以降、二度と交尾は行わず、当然、巣箱内に居る雄蜂とも交尾しません。
秋が深まると、巣箱に残っていた雄蜂は全て、働き蜂に巣箱から追い出され、死んでしまいます。冬の群には雄蜂はいません。
ハニカムの合理性について-現代の人間社会でも多岐に渡って使用されている構造・ハニカム
ハニカム構造は、最も少ない材料で、最も空間を有効利用できる構造である
ハニカムとは、正六角形を敷き詰めた図形のことです。
正六角形は、隙間無く平面を埋めることができる図形の中で、最も外周距離の合計が短い図形です
円は、内側の面積に対して最も外周距離が短く、1個のみの単体であれば最も効率が良いが、複数の円を敷き詰めると各円の間に隙間が出来てしまいます。
多角形では、三角・四角・六角形が隙間無く敷き詰められますが、その中で最も外周距離の合計が短く、内部空間が大きいのは正六角形です。
つまり、最も少ない材料で、最も効率良く部屋(ミツバチで言うと巣房)を作れるのがハニカム構造なのです。
ミツバチはダンスで仲間と話をする-ミツバチダンスによる情報伝達
ミツバチはダンスによる振動で、仲間に、花蜜が豊富な場所等を教え、情報を共有する
これにより効率的に花蜜を集めることができる
ダンスの方向で花の方角を、ダンスの長さで距離を伝達する
ミツバチは花蜜が豊富な場所から巣に帰ると、巣の中で、8の字ダンスと呼ばれるダンスを踊り、花の場所を仲間に知らせます。
8の字の丸同士の交点における直線と、重力方向に引いた直線(いわゆる上から下への垂線)との成す角度が、巣箱を頂点として太陽と花の場所それぞれに直線を引いた際の角度と一致します。これにより、まず花の方向が仲間に伝わります。
また、8の字の丸同士の交点で体を激しく揺すり、その揺すっている時間で花までの距離を伝えます。揺すっている時間が長い程遠くに、短いと近くにあることとなります。さらに、巣箱から100m以内位の非常に近い位置だと、8の字というより円を描くようなダンスになります。
ミツバチは曇りで太陽が直接見えなくても太陽の位置が分かる-偏光の利用
ミツバチは太陽コンパスと言われる方法で、巣へ一直線に戻ることができ、また、前述のように位置情報の共有にも太陽を利用している
人間は、曇りの日に太陽が直接見えないと太陽の位置が分からないが、ミツバチは曇りでも太陽の位置が分かる
ミツバチは偏光を見ることができる為、見え方の違いから太陽の方向を認識できる
太陽光は、非常に遠くから来る為、同一方向からの直線的な光になっています。また、大気中では、存在する気体分子による散乱で、偏光が起きています。
ミツバチの複眼のそれぞれは、8つの異なる偏光角度の偏光板のような機能を持っています。
人間の目でも偏光板を通して見ると、太陽の方向(または真反対)であると全ての偏光角度で等しい明るさで見えますが、他の方向だと、角度により明るさが異なって見えます。この差によってミツバチは太陽の方向を認識できます。